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アイデンティティが分からなくなった話

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私は高校から海外へ単身留学という目的で渡り、その後10数年居ついていた。『留学』とは名ばかりで本当は機能不全でバラバラになっていた家にいたくなかっただけなのだが…。

そんな中、当時のパートナーと別れ日本に戻ってきて働いていた私は「アイデンティティ」に迷っていた。日本に帰ってくるまでは自分は16歳近くまで日本にいたし、久々の日本とは言え、日本人にすぐに溶け込むだろうとたかを括っていた。それが、大きな間違いとも知らずに…。

 

私は日本人?それとも外国人?

私は海外にいた時、自分の感情や意見や振る舞いから「Ms.Sは日本人だからね」と言われていた。だが、日本に帰ってきたら今度は「Ms.Sはもう向こうの人だね」と言われてしまうのだ。それも何度も何度も。自分では分からないものだが、自分の振る舞い、言動、全てが日本人のそれとは違っていたらしい。おかしい…私の戸籍は日本国だし、仮にも第二次性徴期まで日本では育ったというのに…。

 

そこから私はアイデンティティクライシスにスコーンと止まることなく落ち込んだ。私は一体誰なのか、どの国に属しているのか、何人なのか…。考えても考えても答えが見つからない。日本人として振る舞ってみてもそれは違う。自分が何か息苦しさを感じた。向こうにいた時のように振る舞えば傍若無人扱い。どこにも属していない自分。自分を確立する『誰であるか、何であるか』が無いのだ。私は泣いた。寂しくて孤独感にも苛まれた。

 

目から鱗。私を救った言葉

そんな時、テレビでタレントのすみれさんが出ていた。彼女は両親が離婚後、母親とハワイに移住し、大人になって拠点を日本へ移した。(ちなみに私はすみれさんの顔がとてもタイプでいつ見ても「綺麗だなぁ」と思っていた。)彼女に密着し、取材したテレビ番組内で彼女は泣きながらこう言ってた。

「私が何かをすれば「すみれは向こうの人だからね」と言われ、向こうでは「すみれは日本人だから」と言われてしまう。私は何人なのか、私のアイデンティティが分からない」と(随分前のテレビなのでうろ覚えなのは許してほしい)

私はビックリした。同じ思いをしている人がいるのかと。

そして涙する彼女に彼女の友達はこう言った。「You are Sumi, you are you! That’s all matters.」日本語では「あなたはすみれ、あなたはあなた。それが1番大切なこと!」だろうか。

その言葉で私の目から鱗がボロボロと落ちた。「そうか、私は私なんだ。どの国に属しているとか何人なのかは大切なことではない。大切なのは私が私でいることだ」そう思うようになっていた。

 

気付いたことは…

そこから私は自分が何人であるかとかは大きな問題ではないと思うようになった。日本の文化やマナーが私を作ったように、海外の文化やマナー、そこでの体験もまた私を作ったのだから。

だから私は誰かを「日本人的」「外国人的」というのが好きではない。その人は「その人」だと捉えるように努力している。「努力している」と書くのはやはり昔からの癖で誰かを「〇〇人」と無意識にカテゴライズしてしまうこともあるからだ。でも私はカテゴライズされたくはない。私がそう思うのだから、そう感じる人が他にもいるはず…と私は考えている。人は誰しも周りから(人であったり文化であったり様々なものから)良い影響も悪い影響も受ける。それが「その人」を形成していく。だから問題はその人が何人なのかではない、その人がどういう人かということを理解することなのだと思う。結局日本人だって1億人以上いてその中で性格が全く同じ人なんていない。日本人内だって違うのにどうしてその人を国でカテゴライズできるだろうか。

 

アイデンティティで悩んでるあなたへ

だから今もしこれを読んでくれているあなたが、自分のアイデンティティを国籍で悩んでいるのなら「本当にどこかの国籍でラベリングされるのが自分の望みなのか」今一度考えて欲しい。もしかしたら必要なのは「あなた」であることだけなのかもしれないから。そして「あなたがあなた」でいることを誇ってほしい。周りの良いことも悪いことも吸収して出来たあなた。今自分の存在を見つけることが出来たら、今度はそこから要らないものをそぎ落としてもっと素敵なあなたを作ることが出来る。

日本人でもない、外国人でもない、あなたというあなたが。